産直施設の収益構造①

道の駅や農産物直売所、スーパーのインショップ型産直コーナなど規模の大小はありますが、その施設の運営費用は、仕入れ販売では無く主に委託販売からの収益から賄われているケースが大部分です。施設は売上げから一定の手数料を差し引くことで収益を得ます。

委託販売の場合、自分自身で売価設定出来るので、仕入れ取引より「粗利益率」は高くなることが普通です。(例:粗利が仕入れだと65%だけど委託だと80%など)

しかし、委託販売には売れ残りリスクがあり、商品が売れなければ利益はゼロになってしまいます。さらに万引きや破損によるロスもあるため、適正な価格設定が重要になってきます。

売価設定に関してはまた次回以降の「ブログテーマ」としますね。

私の今まで携わった産直施設の中で委託販売手数料一番低かったのが、13%。高かったのが25%。一般的に民間の直売所は低く、スーパーや観光施設などは高めのケースが多かったです。

新規で産直施設を立ち上げる際には、この手数料率をめぐって議論になることがよくあります。施設側は競合他社との比較から率を判断しがちですが、実際には生産者はあまりそこを気にしていません。

生産者が何より重視しているのは、その施設がきちんと商品を完売してくれる”販売力”と”集客力”です。手数料率の違いは、販売数の違いで簡単に帳消しになってしまうからです。

例えば、手数料15%のA施設と20%のB施設があったとします。きゅうり1パック100円で、A施設は85円の粗利、B施設は80円の粗利が出ます。A施設が20パック納品して半分の10パックしか売れず、B施設は20パック全て完売だとすると、A施設は850円の粗利しか得られませんがB施設は1,600円の粗利を得ることができます。つまり販売力が収益力の鍵を握っている訳です。

さらに言えば、店舗の販売力次第では手数料率の高低に関わらず、生鮮品の価格を適宜上げることで生産者収入を増やすことも可能です。B施設でしたら1パック120円、130円でも売れたかもしれませんね。

このように、産直施設の収益を最大化するには委託販売手数料率以上に、いかに販売力と集客力を高めるかが重要なのです。手数料率は会員・非会員、生鮮品・加工品、常温品・冷蔵品などで最大5%程度の差が付けられるケースもありますが、販売力さえあれば大きな問題にはなりません。生産者が何よりも重視するのは、きちんと商品を売り切ってくれる施設の”力”なのです。

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