産直販売の収益構造②

前回、道の駅や農産物直売所、スーパーのインショップ型産直コーナなど規模の大小はありますが、その施設の運営費用は、仕入れ販売では無く主に委託販売からの収益から賄われているケースが大部分です。施設は売上げから一定の手数料を差し引くことで収益を得ます。競合店と比べて、手数料%が高い低いという施設側や一部生産者が居ますが、販売力さえあれば大きな問題にはなりません。生産者が何よりも重視するのは、きちんと商品を売り切ってくれる施設の”力”、販売力なのです。

といったお話をしました。

今回は「入会金」と「年会費」のお話です。

ただ、「入会金」の場合は収益というよりは、会員のセグメント、識別のために設置しているケースが多いです。「入会金」を設定することにより、参加ハードルを高くして「地域外(よそもの)」や「スポット(一見)」からの進出を拒み、コアな会員を保護する目的です。なので結構高めに設定している所が多くて3万や5万、一番高い所で15万円というところがありました。退会の際は一部返金制度を設けているケースもありますが、やはりスタート前に高額だと躊躇しますよね。そういった意味でも真剣に長期的に納品してくれる会員さんを求めているのでしょう。地域で格差を付けているのもあります。「市内はいくら」「その他はいくら」の様に。

逆に「年会費」は正に運営費として活用されていると思います。こちらは数千円程度が多いです。今までの最高で3万6千円。月3千円という事ですから、結構負担度は高いですね。その分、この直売所では委託手数料を大きく下げていました。これも定期的に頻度多く納品してくれる生産者を優遇するための戦略かもしれません。

「入会金」は小規模や地域密着型の農産物直売所などでは設けているケースが多く、道の駅やスーパーのインショップなどはあまり見かけません。「入会金」を預かっても逆に管理計上するのも大変なのかもしれませんね。

「年会費」は業態、規模関係なく設けているケースが半分ぐらいでしょうか。「年会費」に関しては販促イベントや会員のスキルアップ、やる気アップのための教育研修費など目に見える形で有効活用するのは大歓迎です。「年会費」を有効活用して施設の”力”、販売力に繋がれば問題ないです!

でも曖昧にしていたり、効果も見えなくなってきているのに惰性で継続しているイベントやマンネリセールなどは問題ですね。そういった意味でも定期の「販促イベント計画」「実施検証(会員報告)」は大変重要です。

また、デメリットとしては「入会金」を設定しているために、新規会員募集の足かせ、弊害になってしまう。

例として、会員数が年々減少傾向な直売所で会員を新たに募集しようと思った時に、この「入会金」がネックになってしまう。初めての方は【売上に応じた委託販売手数料は納得できるが、売れるかどうか分からない販売以前に「入会金」を払う事に抵抗がある】と言うのである。

では、廃止や減額したりすれば現在の「入会金」を払った会員とのギャップがでてしまい不公平感が出てきてしまう。

なかなか落としどころが難しいですが、会員数や出荷品が減って、直売所自体が衰退、閉鎖してしまっては「入会金」どころ、会員の販売先も失ってしまいますよね。既存会員、新規会員どちらも納得できる仕組み、管理運営方法を一度全員で考えて見ませんか。

 

 

 

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