チラシの効果測定とは対象店舗やそのマーケットに合った“最適”なチラシを客観的に提案するものです。
そのため、最終的にはチラシの縮小や中止だけを提言するのでは無く、拡大や販促内容変更含めて、より効果的な見直し改善プランまでご提案するものです。
①当社のチラシは本当に効果あるのだろうか?
折込チラシを長年入れ続けている店舗のほとんどがこの事を何度か真剣に考えたことがあると思います。
弊社自身も全国様々な業種のトップ~現場のパート様まで数十回と質問や相談をされてきました。
何故なのか?それはほとんどの企業でチラシの効果分析を行っていなかった、いや、出来なかったからです。
そしてその店舗のほとんどの効果判断基準が、チラシを入れて売上や客数が上がれば“効果あり”
売上や客数が思ったほど上がらなければ“効果無し”と判断する経営者がほとんどでした。
実はこの“この思ったほど”が曲者で、人により判断基準が曖昧で、主観や感覚的部分に頼ることがほとんどでした。
そしてより効果(表面上の売上や客数)を上げるために、より安い商品を沢山入れる(赤字)、より沢山のチラシを回数多く実施する(経費増)を首を傾げながら長年現場は続けて来ました。
②チラシを中止(休止)したらどうなるだろうか?
この質問や相談も数多くされました。
しかし、最終的にはほとんどの店舗では中止(休止)することなくチラシを今も続けております。
それは①の効果の判断基準が曖昧なために、影響度合いが測定出来ない言う事と、仮に中止して売上が予想以上に下がったら、チラシを再開しても離れて行った客や失われた売上は簡単に戻ってこない。ならば、取りあえず続けておこう!「安心保険」みたいなものだ。そのため、一時的にチラシ枚数を減らしたり、カラーやサイズを縮小し経費削減して帳尻を合わせをしてきます。しかし、元々効果性が低かったチラシの場合は枚数やカラーやサイズを縮小しても売上の影響は少ないため、これ幸いと定番化していきます。そしてそれがいつのまにかジリ貧の縮小販促に陥ってくる。売上がジリ貧になってからでは対策を打つ力はもう残っていません。
言い換えれば保険の特約を減らして現状をしのいでいる。そんな状況が中小小売店でのチラシ販促なのであります。
③チラシは中小小売業の最大の武器
しかし、中小小売店が手っ取り早く集客し、売上が取れるモノの一番手はやはりチラシです。
クーポンやポイントカード、SNSが時流になりつつありますが、やはり現場はまだまだチラシなのです。
要は効果があるのか無いのか、掛けた経費以上に利益に跳ね返っているのか、無駄打ちは無いのか、それが明確になっていない事が問題なのです。
※参考までにスーパーマーケット統計調査によると2020年(2018年)では「新聞折込チラシ発行率89%(96.5%)」「1週間当たりの発行回数1.6回(1.9回)」「発行を減らしたい42.5%(36.4%)」とコロナの影響もあるのだでしょうが、2018年と比べると縮小傾向の意向がスーパー各社から見受けられました。半面、「発行を増やしたい1.2%(0.9%)」と言った積極派も微増しており、正に小売業のチラシは抜本的見直し含めた新たな局面に入ってきているのではないでしょうか。
●折込みチラシ効果測定(現状分析)
1)チラシ配布エリアと顧客分布との差異検証
これは現在来店している顧客分布とチラシ配布エリアを重ねて判断するものです。顧客分布では会員カード実施企業の実績データを活用します。当社のチラシ効果測定の特長は会員を“頭数”のみでドット化するのでは無く、会員の“総買上金額”をエリアごと強弱でランク分けし、マッチング度合いを分析・判断します。
会員カード未実施企業やデータ不備企業の場合は数日間の店頭サンプリングを行います。※詳しくは商圏調査を
左)はカード会員をMAPにドッド化したものです。会員の分布傾向はわかりますが、お店への貢献度(売上)、商圏の可能性(シェア)がわかりません。
右)は会員1日辺りの売上を町丁別に落とし込み、需要金額のシェアで色分けしたMAPです。これで見ると会員の頭数は右側地区に集中していますが、お店の貢献度が高い優良客やシェアが高い(色つき)エリアは左側地区に多くあり重点エリアと言えます。同じチラシを入れるなら右側より左側と言うことが判明しました。
※しかし、実際にチラシを見た事で来店しているのかはわかりません。(来店動機)
2)チラシによる来店動機の検証確認
これは本日の来店はチラシを見たからなのか、見ていないかを確認するためで、レジ精算客に店内で聞き取り調査を行います。
質問内容は1~2項目程度の簡単な内容なので、お客さまも比較的スムーズに答えてくれます。
サンプリング数は来店客数の30%以上を目標とします。日/客数2000人規模のスーパーでアルバイト2~3人程度。アルバイト不要の投票ボックス方式やスマホを活用した「リサーチアプリ」もご用意してあります。
上記の店舗では、午前中のお客様は70%近くが折込チラシを見て来店していました。しかし、時間が経過するごとにチラシを見て来店する%が減り、18時以降ではチラシを見ずに来店した客が逆転をしました。また、新聞を契約していないお客さまも20%強いました。
時間帯別では午前中は29歳以下のヤング層が圧倒的に少なく、50~64歳のシニア層、65歳以上のシルバー層併せた数が70%近くを占めていました。時間が経過するごとにヤング層が増え、シニア層シルバー層が減っていました。18時以降はヤング層、30~49歳のミドル層とで80%近くを占めていました。
上記のことから、午前中はチラシ来店動機のシニア、シルバー層主体。午後から夕方にかけてチラシ効果は徐々に薄まりミドル層中心に。夕方から夜はチラシを見ずに来店するヤング層中心と大きく変化していました。また新聞未契約者が比較的多い午前中はシルバー層、夜はヤング層が多いのも何らかの相関関係があるかもしれません。
「チラシによる来店動機の検証確認」から、最適なチラシ=NEWチラシの方向性、仮説立てが出来てきました。
①午前中はチラシ効果が高いのとシニア層、シルバー層が多いのでそれら客層を意識した特売商品や量目を意識する。
②今まで数量限定の目玉商品と1日通しの特売商品の2本立てだったが、9時と11時と13時のタイムサービスを実施し、1日通しの特売商品は少なくする。(夕方来店客はチラシを見ないでの来店が60%強なので、チラシより定番商品を重視する)
③夕方は特売品の補充を少なくする分、ヤング層、シニア層向けのカンタンメニューや出来立て惣菜、ワンコイン居酒屋など品揃えを思い切って変えてみる。
これで、1)チラシ配布をする新たなエリアと 2)時間帯、客層別の新たなチラシ商品や販促策、商品政策の方向性が決まってきました!
3)チラシ投資効果の確認
1ヶ月間のチラシ企画ごとの掲載商品の販売実績、点数、原価、特売価格、通常売価、粗利益、チラシ費用の数値を提出いただき、投資効果分析(ROI)を行います。
※ここでは単純に経費対効果から1ヶ月間のチラシ企画ごとの当たり、ハズレを判断し、今後のチラシ販促の拡大・縮小等の政策や企画内容の方向性を占う重要な分析調査です。
例①定価350円のキャノーラ油1リットルをお1人様1本限りで月に2回チラシの目玉商品として1本198円で掲載しております。原価は228円。1本売るごとに▲30円の赤字です。チラシで月間合計約2,000本販売しますので、▲60,000円。このキャノーラ油の月間販売点数は約2,200本。特売以外では200本しか売れません。その為、平均単価は212円。特売だけでは無く月間通して赤字商品なのです。社長は長年やっていてお客様に喜ばれているからこのままで良いと言いますが、本当にそうでしょうか?EDLP(毎日低価格)で238円で販売したらどうでしょうか?少なくても赤字にはなりませんが。
②某スーパーでは毎回特売商品に箱アイスを掲載していました。週2回なので年間48回です。しかし、年々チラシアイスの売上が下がっていて、商品部長から効果を出すため、4割引きを半額にしたらどうかと相談されたことがありました。調べてみるとそのスーパーのある市の家計調査年報ではアイスの購入回数が年間26回、金額で7,898円しかありませんでした。明らかに需要を上回る供給オーバー、毎回特売商品として掲載されるにはアイスは役不足だった訳です。
4)3)のオプションとして競合企業2社までのチラシ・販促分析(1ヶ月間)と現地確認踏査(1泊2日×2回)をセットでの調査実施可能です
5)改善プランの提案
1)~4)までの分析調査から見えてきた現状チラシ等の課題や問題点、可能性を抽出し、その上で弊社が考える“最適な”チラシ販促をご提案いたします。
また、参考として現状スタイルのまま推移した今後12ヶ月間の売上予測(移動平均による)まで参考シュミレーションとして提出いたします。(直近15ヶ月間の売上実績が必要です)