野菜販売、客単価アップの“両輪”「売り方&魅せ方」編

いよいよ明日から12月を迎え、1年の締めくくりが近づいてまいりました。
今年の12月は、昨年と比較して「日曜日が1回少ない」という明確なマイナス要因があります。週末集客に依存しやすい産直施設にとって、この1日減は見過ごせない影響を及ぼします。皆さまの現場では、すでに対策はお済みでしょうか。

加えて、春先から続いた野菜価格の高騰や米不足による品薄感、加工品の値上げによって「客単価」は前年を上回って推移している一方、「客数」は減少傾向が続いています。結果、売上は微増あるいは前年並み、という施設が多いのが実情です。こうした環境下で、12月の稼ぎ時にどう巻き返すのか。本稿では、売上の公式に立ち返りながら、筆者なりの具体策をまとめてみたいと思います。


1. 客単価アップの“売り方”戦略

売上=「客数」×「客単価」。
環境変化により客数を伸ばしにくい現在、「客単価」を伸ばす施策は時流に合った最適解です。客単価はさらに「一品単価 × 買上点数」で構成されます。両方を同時に伸ばせれば理想的ですが、現実的には“どちらか一方を上げ、もう一方を維持する”ことが成果につながります。

● 一品単価アップの施策

  1. ケース売り
     バラではなく箱・ジャンボパックなど大容量化で単価を上げる王道手法。

  2. 福袋企画
     「2,500円相当→2,000円」などのお得感演出は、季節を問わず成功率が高く、導入しやすい企画です。

  3. バンドル販売(まとめ買い割)
     例:「1パック398円 → 3パック1,000円」。
     “いずれ使うし、得だから今買う”という心理を刺激します。ただしレジシステム対応の可否には注意が必要です。

  4. 詰め放題
     イベント性が高く集客にも強い一方、商品破損や衛生面のリスク管理が必須です。

● 買上点数アップの施策

  1. 均一セール(100円均一・ワンコイン等)
     初めてでも成功しやすい鉄板企画。ポイントは「アイテム数」と「特設コーナーでの集約陳列」。継続のコツは“脱マンネリ”です。

  2. よりどりセール
     「野菜よりどり8品990円」など、特に青果で効果が大きい企画。こちらも成功の鍵はアイテム数の確保です。


2. “魅せ方”が購買意欲を左右する理由

売場の印象は、購買率に直結します。食品スーパーが11月から正月商材を前面展開し季節感を演出するのに対し、産直施設は年間を通して売場構成が大きく変わらないケースも散見されます。
しかし、お客様が求めているのは「新しさ・珍しさ・お得感」といった“特別感”です。定期的なイメージチェンジこそ、集客・購買の大きな起点となります。

● 魅せ方のポイント

  1. POPは「一テーマ完結」が鉄則
     歴史・生産者紹介・保存方法など、テーマを一つに絞ると読みやすく、伝わりやすくなります。プライスカードの破損・欠落確認も必須です。

  2. 陳列位置の最適化
     一等地には“今一番売りたい商品”を置く。スタッフ提案も積極的に取り入れることで、売場改善の意識が全体に広がります。

  3. 什器・備品の見直し
     退色したカゴや破損ケースでは商品価値が下がって見えます。マットを無地からピンクに変えただけで点数が倍増した例もあります。

  4. 照明の刷新(LED化)
     暗い売場は第一印象を損ないます。蛍光灯の“2027年問題”も踏まえ、早めのLED化はコスト削減と売場改善の両面で効果的です。


まとめ

本日は「売り方」と「魅せ方」という、客単価アップの両輪についてご紹介いたしました。品薄感や客数減少といった外部環境に左右されやすい12月ですが、売場づくりと販売手法を工夫することで着実に成果を積み上げられます。

皆さまの12月商戦のご成功を心よりお祈り申し上げます。今回の内容が、現場課題の解決や販促企画の一助となれば幸いです。

産直販売プロデューサー 沼澤裕

産直販売プロデューサー 沼澤裕

株式会社コストSP総研 代表

産直販売が好き過ぎて仕事を代えた宮城県の男性/産直コンサル実績15年延べ220件以上/始めたきっかけは、元々地場野菜やローカル商品が大好きで全国の道の駅、食品スーパーに立ち寄るのが趣味でした。その「見て聞いて食べてきた」体験談を小売業社長に話すうちに「うちでもやりたい」「手伝って欲しい」となり、産直売場の改善、新規開設等が主力業務となりました/産直は立地・規模に関わらず、大手に対抗出来る数少ない集客策と確信しています!

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