ポイントカードの裏話し①経費率の試算あれこれ

ポイントカードを導入している小売業はおそらく70~80%以上あるのではないでしょうか。

今やすっかり市民権を得たチラシに並ぶ身近な販促策です。

しかし、運営経費や導入効果については曖昧なままスタートし、マンネリなまま継続している店舗も多くあります。

今一度、ポイントカードの経費試算とその中身について考えてみましょう。

 

①ポイント経費率の方程式

 

●還元率×カード利用率×添付率=表面経費率

例えば、お買上100円ごとに1ポイント(1円)の場合、還元率は1%。店売上が100万円でその内カード利用者の売上が70万円だと売上対比カード利用率が70%。添付率は端数金額にポイントが添付する割合を示します。(100円でも199円でも1ポイントなので)通常は90~95%前後。今回95%とすると、1×0.7×0.95=表面経費率は0.67%となります。

ですが実際的には、


●表面経費率×ポイント回収率=実質経費率


ポイントの回収率(実際に景品や金券として使われた金額)が80%とすると、0.67×0.8=0.54%となります。


 ポイント未回収分(上記の場合20%)を経費立てせずに、簿外債務状態になっている企業が時々あります。売上の前年割れが続いた場合、現在のポイント発行より過去を含めた回収の方が多くなり、売上が下がっているのに経費率が年々高くなっていく危険があります。また、ある企業では長年実施していたポイントカードを中止すると言う噂が立ち(実際には中止では無く、他メーカへの切り替え計画だった)、お客様が一斉に回収に来てお店の販売商品と交換して行ってしまい、結果的に廃業に追い込まれてしまった恐いケースもあります。
 また、カードの効果・人気度のバロメータはカード利用率であります。利用率が40~50%しかない為、経費率は低く収まり喜んでおられる経営者が時々居ますが、これは論外であります。カードはその店舗を良く利用し、特典を得る可能性の高い人たち(上得意客)から意思を持って会員化されていきます。上得意客だけを対象にしたカードなら別ですが、一般的にはカードを持ってもらうことにより囲い込みをし、一見客を一般客に、一般客を得意客にとランクアップさせわが店の固定客(会員)にすることが目的ですので、利用率は売上対比70%以上は最低でも確保しておきたいところです。


 

更にチラシ特売時ほど利用率が低くなるようなら、明らかに普段来店されていないカード会員以外を集客する「無謀な特売」が要因であり、カードとチラシの販促の在り方・バランスを見直すべきだと思います。

●次回は利用率アップ手法、発行と回収のバランスについて

 

2017年02月19日