産直スーパー(インショップ型)のススメ



弊社では、食品スーパーを中心とした量販店に対し、新たに産直売場をインショップ(店内併設)した販売スタイルや既にある産直売場の活性化を積極的にお勧めし、応援しております。(以下産直スーパー)

※別サイト 「生産者と小売店をつなぐ 産直販売わくわくプロデューサー」(2023年7月開設) こちらもご覧ください。https://www.cost-sp.co.jp/wordpress/

 

①産直スーパーの現状


産直スーパーは年々増加し、今や市民権を得た生産者直売所(以下直売所)同様、食品スーパーでも売場の一角を産直コーナと称し、地元農家の野菜や果物を中心に生産者自身で持ち込みする委託販売スタイルは数多く見受けられる様になってきました。(スーパーマーケット統計調査事務局によるとスーパーマーケット店舗数は2020年3月現在全国に22,523店舗。その内地元産直品コーナ設置済は68.8%。また今後売場拡大、新規開設を希望する店舗が約48%と約過半数が強化傾向です)
上記インショップ型を導入している産直スーパーに一般の産直売場を備えた直売所や道の駅の数(2019年時点で全国に23,650店舗あり)を含めると、おそらく全国で30,000店舗以上の産直施設が存在しているのではないかと推察いたします。
これだけ店舗数が存在すれば既に飽和状態と思われがちですが、消費者の産直へのニーズや期待はそれ以上に高く大きく、弊社ではまだまだ販売ニーズやシェアはあると考えております。

地元産直品の設置状況 地元産食品のコーナ設置意向
新規コーナ設置、コーナ拡大希望併せて約48%

 

②産直スーパーの実情(内容)

しかしながら、多くの産直スーパーでは委託販売の形式を取り、生産者にほとんど全てを任せております。売場管理や商品管理鮮度チェック、販売サポートや生産者とのコミ二ケーション(人間関係)などは非常に希薄で、専任担当者なども居ないのが普通です。
朝、生産者が並べて行った野菜果物がそのままの状態で夕方、閉店まで置いておかれます。運よく完売すれば良いですが、中には袋が破れたり、ラベルが剥がれていたり、鮮度が劣化していたり・・・。そして残った商品はその状態で段ボール入れられて生産者自身が引取り廃棄しています。
これは委託販売でしょうか?お店で預かって責任を持って販売しているといえるのでしょうか?
自分達が市場やメーカから仕入れた商品は大事に扱って販売するのに、産直商品は売れようが売れまいがお店、自社部門には一切関係無い。これが実情です。
その為、生産者離れがおこっております。「A店は商品持ってこい、持ってこい言うだけで全然売れないし、管理もしてくれない」「B店は並べる場所も無いし、青果の社員が私たちの野菜の値段を見て、それより10円だけ安く売ってる。自分達のことしか考えていない」
生産者も消費者と一緒です。

③産直スーパーのおススメの理由(メリット)


なぜ、弊社が産直スーパーを勧めるのか?
それは利益が出て他社がマネできない(マネし辛い)、販売戦略だからです。そして地域に喜ばれます


1)集客効果があり、一定の粗利が確保できます

全国スーパーのほとんどが、チラシ特売のハイ&ロー戦略を行っております。
簡単に言うと赤字商品を目玉にして集客し、他の商品も買って貰って売上・利益を確保しようというものです。
●産直スーパーでは産直品が集客の目玉商品です。赤字商品ではありません。15~20%は確実に粗利が見込まれます。
※そのためにはお客様が朝から並ぶような魅力的な産直品が必要です。

2)企業規模や立地はあまり関係ありません

上記のチラシ特売やNB商品のディスカウント販売などは大手企業の戦略で、資金力が無い企業や単独スーパーではマネが出来ません。続きません。立地も人口密集地やロードサイドなどの一等地は不要です。
●産直スーパーでは基本委託販売なので資金力は特に必要ありません。必要なのは人間力(生産者と販売スタッフ)と企画力。それらを継続する力とその仕組みづくりです。立地も周辺人口は多いにこしたことはありませんが、一番重要なのは納品してくれる生産者や応援者らの数です。ですので過疎地や農村立地でも産直スーパーは充分可能です。
※但し、駐車場はある程度のスペースが必要です。なぜなら、それが無いとわざわざ遠方から呼び込めないからです。

3)新しい客層や商圏拡大、週末アップにつながります

一般的なスーパーでは足元商圏のお客さまに、数多く来店し、より多く買って貰えるような戦略や販売方法をとります。
●産直が強くなると、チラシを打たなくてもわざわざ遠方から集まるようになってきます。
目的は新鮮で安心安全な野菜、珍しい商品、試食や餅つきなどのイベント、美味しい飲食(施設併設している場合)
ドライブ途中、道の駅などつい寄りたくなるそんなイメージです。多少高くても新鮮で美味しい商品へのニーズは年代年収国籍問いません。
某スーパーでは、高級外車で来店するご婦人や飲食店オーナが増えたと言った例や、外国人客が定期的に訪れて特定商品(この店では湯葉豆腐)を大量購入したり、生産者イベントにも積極的に参加したそうです。
また、新規客層や商圏拡大が定着してくると週末客数が自然と増加して行きます。
※新しい客層や商圏拡大、週末アップにつながるまで時間はかかります。

4)本物の地域密着型スーパーを目指せます

地域密着スーパーと言えば地域消費者の立場に立ったスーパー(品揃えや価格、サービス)が求められてきました。
●産直スーパーでは上記地域消費者にプラスして、地元生産者や地元メーカ、授産施設などが納めた商品を彼らに代わって販売し、喜ばれ、購入したお客様にも喜ばれる、正に三方良しを目指す新しい販売形態なのです。

※産直スーパーに関して、良くある質問

①生産者集め、端境期など商品集めに苦労する
②産直が強くなりすぎると、自社青果部門に影響が出て売れなくなる
③産直部門や生産者の管理運営が難しい

①その通り、簡単ではありません。特に商品、生産者集めには本当に苦労します。しかし逆に簡単でしたらどうでしょう?どの企業どの業態でも簡単に参加します。ハードルが高いから良いのです。要は困難を克服するアイディア、ノウハウ、現場努力が必要です。

②対部門では無く、トータルで考えるべきだと思います。仮に今の青果売上が日/300千円粗利20%粗利益額60千円としましょう。産直売場を新設したため、30%影響を受けたとして青果売上が日/210千円粗利益額が42千円と▲18千円ダウンしてしまいました。しかし産直部門で日/100千円手数料20%とした場合、粗利益額で20千円でカバーすることが可能です。
また、考え方ですが産直部門では朝採れの新鮮葉物と近郊野菜、珍野菜だけに絞った狭く深い品揃えで売り切れOKの販売。
青果部門は浅く広い品揃えで、午前中は産直部門の補完販売中心、午後から夕方は完売した産直をカバーする主役販売。なので夕市などの午後販促が青果部門では有効です。お互いに競合するのでは無く、あくまで上手に棲み分けをする運営体制がポイントだと思います。そして一番のメリットは新鮮な産直品を目当てにした集客、店舗全体での客数底上げ効果です。最初部門では無く、トータルで考えるべきだと言ったのはこの理由からです。

③自社での産直部門のポジショニングを明確にする。担当者を付ける(サブやパートでも可)。責任や数値を明確にする。運営のマニュアルやルールブックを作成する等。
今まで曖昧で人(生産者)任せにしていた管理運営部分が問題なのです。この部分を自分達(店舗)でルール化し産直のポジションを明確にすることが重要です。