直売所 負のスパイラルとその解決方法②

「生産者と商品を集める」「来店客の期待と満足度を裏切らない」「意欲とコミ二ケづくり」

 

では、一体どうやって「生産者を集めるのでしょう・・・」

 

まず、その前にお聞きしたいことは貴店は「生産者募集活動を行っていますか?」

 

私が過去伺った、直売所や食品スーパーのインショップの場合、半分以上が「具体的な募集活動を現在行っていません」でした。

また、行っている企業でも売場に「生産者募集中!詳しくは店長○○まで」と書かかれた日に焼けたPOPがある程度で、出荷を考える生産者が「このお店に納品して、本当に大丈夫なのだろうか?」「真剣に募集しているのかな?」と疑うような内容です。

 

 

下記の「直売所売上回復、正のスパイラル」をご覧ください。

 

①生産者、出展者を集める

ここで一番重要なことは、「受け身の募集では無く、働きかけの募集を行う」「生産者=農家に拘らない。様々な出展者を集める」ことです。

 

実際の募集活動では、

①「出展者募集説明会の開催」をこちらで日時と会場を確保し開催を行う。←告知に自店チラシや売場でPR。

②「生産者友人や職員、業者などから紹介」。自社の職員の親戚や友人に農家は居ませんか?是非、紹介を!

③「脱サラ農家や新規就農者へ」定年後農業を始めた方や若手の新規就労者などは既存ネットワークが乏しく販路を求めています。少量ですが安定した入荷が期待できます。

④「法人農家」商品は偏りますが、大量集荷が期待出来ます。県の展示会や行政絡みの紹介を。

⑤「農家に拘らない、出展者でもOK」主婦が作った手作り雑貨、起業家が作ったぐい飲み升、地元メーカの菓子や日配品、授産施設の利用者さんが作った有機野菜や手作りパンなど。

こういった“出展者”が集まるとバラエティある道の駅的な雰囲気の期待感漂う楽しい売場になります。但し、雑貨などは見るのは楽しいですが、そう売れるものでもないので、販売スペースを限定したり、月替わりにしたり工夫が必要です。

 

②品揃えを充実させる

①でそこそこの生産者や出展者が集まり、売場が何となく賑わってきた。

次はこの売場を夕方や平日にも持続させなくてはなりません。

特に夕方の品薄状態は働く主婦層をターゲットにしている直売所の場合、致命的です。

ではどうやったら夕方まで商品を切らさず置いておけるのでしょうか?

直売所の場合、基本「売れ残りは生産者が引き取る」ことになっています。これが直売所の鮮度の魅力でもありますが、このことが逆に生産者の出荷意欲にブレーキをかけてしまっているのです。

 

「売れ残りを引き取りたくない」→「少なめに出荷する」→「売場が貧相になり売れなくなる」→「ますます少なめに出荷する」。生産者の行動心理からこのような悪循環に陥ってしまいます。

1)「売れ残りは必要悪!完売より毎日一個売れ残り!」の重要性(チャンスロス)を生産者に伝え、理解させる

2)「足りなくなりそうな時はお願いできる生産者を作っておく」(品種別に)。その為には、常日頃の関係づくりが重要

3)「お願いした時は徹底してその商品の販売サポートをする。この場合は多少のえこひいき販売も可。完売(準完売)すればその生産者との信頼度は増し、次回も頼み易くなる。もし他の生産者からえこひいき販売についてねたみ、やっかみを言われたら、〇〇さんも是非、午後から出荷してください!」と

 

③来店客の期待度と満足度アップ

これはあくまでも私自身の感想なのですが、直売所を訪れる客の過半数が「買う気満々=購買意欲」「興味津々=宝探し」のワクワク、ドキドキ感で来店される思っています。その理由として直売所の開店時間前から目当ての商品を求めて並んだり、スーパーのインショップでもスーパーの青果売り場へ行く前にまず産直コーナに立ち寄り品定め購入をしてから、他の野菜をスーパー青果売り場で補完購入している購買行動を目の当たりににしてきたからです。

ですので、来店する前に「期待感」、来店後に「満足感」を最大限に出来る、ワクワク、ドキドキの鮮度や品揃えやイベント企画が重要なのです。

 

家→何か楽しいものあるかな?店→良いもの発見!買おう!家→美味しい!買って良かった、また来月行こう♪→店

期待感や満足度を調べる方法として、「潜在意識調査」「来店客満足度調査」などがあります。定期的に調査を行い、売上伸長の裏付け捜査を行う事が末永い期待度、満足度アップを持続させるコツとも言えます。

 

④販促で更なる集客を目指す!

③は基本的に店舗の存在を知っているお客様の購買心理や動向です。即ち、自店ファン=リピーター育成ですが、これが軌道に乗って目に見えて自店ファンが増えてきたら、次は「新規客の獲得です」。

これは店舗の存在を知らないお客さまは勿論のこと、以前行ったことがある。店の前を通ったことはあるが寄ったことは無い。こう言った過去の潜在客も集客対象にします。ですので、折込チラシよりは広域のタブロイド新聞やラジオCM、イベントも回数よりも内容を濃くします。いわゆるインパクトの大きい販促企画です。このストーリーで来店前の期待感を煽り、実際来店して満足して帰って貰ったら、あとは口コミ宣伝で当分増客します。(土日)

更なる集客の為には、広告費を削ったり内容を貧弱にしないこと。より確実に集客に繋がるイベント内容を企画すること。失敗してまた実施するより、より確実性を狙う。万が一失敗したら、原因を探り再度挑戦してみる。

注意する部分として、③の体制が固まる前、即ち店舗満足度=自店ファンが達成レベルになっていない内に、大々的な集客イベントを掛けてしまい、せっかく来店したお客様に不満を与え、生産者たちにも迷惑を掛けてしまう。こういう焦ったケースが実際には良くあります。その為にも、しっかりした販売計画と時間が必要です。

 

絶対「新規客獲得」の前に「リピータ育成」「売場完成!」です!

この順番を間違えると、最悪状態のお披露目会となってしまいます、くれぐれもご注意を!

 

⑤更に生産者、出展者を集める

この段階まで来ると、確実に売上、客数が上がっていると思います。売上増=生産者手取り増なので、おのずと生産者間でも口コミで拡がります。

「○○直売所最近すごく売れるみたいよ~」「○○さん、先月販売実績100万円超えたんだって~」。事実から良いうわさまで、いろいろな場で話題になり始めます。

①の時はメンバーになることを躊躇していた生産者、出展者達に向けて再度募集を掛けて見ます。お題目は「売り上げ絶好調!商品が足りません!生産者募集説明会」「好評につき、追加募集実施(人数限定)」など。

また、①で声掛けした方々にも「おかげさまで絶好調なのです、改めてご検討して貰えませんか?」と先方も覚えていますので初回より圧倒的に声掛けし易くなります。

 

⑥生産者の販売意欲、店舗の信頼づくり

⑤で新たな生産者らが増えると、ますます売場が賑わって売上もより長期安定してきます。しかし、生産者が増えると言うことはある面、「ライバルが増えた」と受け取って販売意欲を減退させてしまう人も居ます。中には「あそこは置く場所が無い」「他の生産者が隅に移動していた」等と言ってお店を離れてしまう生産者たちも出てきてしまいます。こうなると本末転倒、何の為に生産者、商品を集めたのか。になってきてしまいます。

それらを防ぐためにも生産者と店舗(現場スタッフ)らとの定期的な会議をお勧めします。会議と言っても固い内容だけでは無く、繁盛店の事例や成功した生産者のノウハウ、販売イベント計画など。お茶とお菓子を食べながら1時間程度の「お茶っこ会」で充分。要は生産者の考えや意見をどれだけ店舗、現場が吸い上げて対応してくれるかなのです。ほとんどの直売所やスーパーではこういった機会を実施しておらず、また実施していても片側通行の風通しの悪い会議が多いと聞いております。逆に言えばしっかりしたコミ二ケーションづくりの場と姿勢を提供している店舗への離会員率は少ないと言えますし、他の直売所との差別化に繋がります。

ある直売所の話ですが、生産者向けの勉強会を定期的に開催していました。手書きPOPや陳列のノウハウなど1時間以内の基本的な内容でしたが、「そういう勉強も是非してみたい」と言う生産者数人が噂を聞きつけて他の直売所から参加してきました。こちらは有償参加でしたが、「販売のスキルやマーケティングも教えてくれる直売所」と言う噂が立って、それをきっかけに何人かが新規産直メンバーとして登録したことがありました。

 

「生産者と商品を集める」「来店客の期待と満足度を裏切らない」「生産者の意欲づくりと現場とのコミ二ケーションづくり」この3点が産直売場活性化の胆です!

 

2016年05月27日