直売所 負のスパイラルとその解決方法①

「生産者不足」「陳列商品が乏しい」

 

地方の農産物直売所や食品スーパー併設の産直コーナをコンサルティングすると現場から上がってくる相談内容のベスト1はこれであります。

「登録生産者数はそこそこ居るのですが、実際に毎日納品してくれる生産者1/5位しか居ません。」「午前中は商品があるのですが、午後はガラガラになってしまいます」「どうしたら、生産者や商品が増えるでしょうか?」先日訪問したスーパーマーケットでも同じような質問をされました。

 

では、何故産直商品が不足、乏しい現象に遭遇し、毎日悩まなければならないのでしょうか?

 

下記の「直売所売上ジリ貧、負のスパイラル」をご覧ください。

 

①②生産者、陳列商品の不足

根本的な原因はここにあります!売場面積や来店客数と比較すると少ない生産者数とそれに伴う陳列商品の不足。OPEN前、産直販売に期待を掛けすぎ、生産者を集めるよりもまずは売場を大きく取りすぎてしまったスーパーや朝一番しか納品されず、午後から品切れ状態になってしまう直売所などはこれに該当します。

 

③来店客の満足度低下

直売所を訪れる客の購買心理はスーパーの食品売り場に行くのとはだいぶ違います。「何か新鮮なモノないかな?」「珍しい野菜は?」「訳あり品は?」「この前食べて美味しかった○○さんの漬物、今日はあるかな?」」食品スーパー併設の産直コーナも同じです。過半数の主婦はまずは産直コーナに立ち寄り、おメガネに叶ったものをカゴに入れ、産直コーナで揃わなかった物をスーパー部門の青果コーナで補完購入しているのが現実なのです。産直ファンの客は「非日常的なもの」「宝さがし」「ワクワク感」を求めて直売所、産直コーナに立ち寄ります。なので、せっかく来店したのに「商品が無い」「売場がガラガラ」「他県商品が並んでいて間違えて買ってしまった><」など。

 

④客数減、買上点数減

せっかく来店したのに期待を裏切られた客は確実に足が遠のいていく。また陳列商品も少ないため買上点数も比例して当然下がり、来店しても買って貰えない、不満を持って帰ってしまう「チャンスロス」状態が続き、商品回転率も下がり鮮度も劣化します。

 

⑤(長期)売上ジリ貧傾向

④までの間に抜本的な対策を講じないと、売上低迷が一時的では無く長期的な継続傾向となってしまう。これを「長期売上ジリ貧傾向」と言います。

「まだ前年対比90%だから大丈夫!」と高をくくっていると、90%(今年)×90%(来年)=81%(2年前対比)。90%(今年)×90%(来年)×90%(再来年)=72.9%(3年前対比)。とあっという間に3割減になってしまいます。

 

⑥生産者の販売意欲、店舗への信頼減

⑥生産者も一生懸命作って納品しても売れない。売れなくても店舗側は何も対策を講じてくれない。おまけに担当者から「○○さん、もっと沢山納品してくださいよ」とお願いされ、追加納品しても翌朝バックルームの返品棚に無造作に置いてある。こうなると当然ですが、店舗との信頼関係も薄れ、生産者は売れてしっかり管理対策してくれる他店へ鞍替え納品します。そして売れない店舗の「烙印」を生産者に押されると、口コミで生産者間に広まり更に生産者鞍替えのきっかけづくりになってしまいます。一度鞍替えされると中々生産者は戻ってきてくれません。益々、生産者が脱退し「長期ジリ貧傾向」「生産者不足」に拍車がかかってしまいます。これこそ正に「直売所売上ジリ貧、負のスパイラル」なのです。

 

対策はまずは「納品商品」の量と質を基準値まで戻すこと。そしてそれを購入するだけの「客数」を安定集客できる店舗力を維持することが重要です。

でも現実的にはこの両輪を復活させるのは中々一筋縄ではできません。

 

次回では具体的な回復策のヒント、アドバイスをお話しいたします。

 

2016年05月21日